(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2018年9月号掲載)
【石ガール通信】第九回 「ラスベガス・ジュエリーショー」訪問記 <後編>
目黒さんの心に残ったジュエリー
「JCKラスベガス」「クチュール」「アンティークジュエリー&ウオッチ」からなる、ラスベガスのジュエリーショー。目黒さんは「アンティーク」を、小俣さんは「クチュール」を楽しみに訪問し、それぞれ心に残る、素晴らしいジュエリーとの出会いがあったといいます。
「今回私も忘れられない石との出会いがあったんですけれど、まずは先月号で予告した目黒さんのアンティークとの出会い! そのお話からご紹介しましょうか!?」
「よくぞ聞いてくれました! 私が個人的に欲しくなってしまったアンティークジュエリーがあったんです。それは…ロープチェーン!」
「あれは本当に気に入ってましたね!」
「もともとロープチェーンが好きなんですけれど、アンティーク会場で見つけて、もう釘付け。小指くらいの太さのしっかりした金のロープチェーンに、『フェデリング』のような手の形をした装飾が付いていて…!」
(編集部注:「フェデリング」とは、手と手が握り合うモチーフの指輪で、12世紀頃からイギリスで用いるようになったといわれています。)
「中世ヨーロッパのアンティークジュエリーで見かけるデザインですね。」
「手と手を結びあうモチーフですから、あのロープチェーンも多分『対』になっていて、もう一つあったんじゃないかって想像させるのも素敵ですし、『フェデリング』が流行った時代のものなら、恋人がメッセージを金の中に彫り込んで贈るっていうこともあったみたいなので、ますます惹かれてしまって…!」
「メッセージリングなどが作られた時代ですよね?」
「そうですそうです! 愛する人や亡くなった人へのメッセージを、暗号のように宝石で表現して、それを読み取るっていうのが流行った時代があるんです。」
(編集部注:「メッセージリング」とは、配置した宝石の頭文字をつなげてメッセージを伝えた指輪のこと。シンプルな金の指輪に、手彫りでメッセージや名前を刻むことも。16~18世紀のヨーロッパで発達し人気を得たそうです。)
▲ 目黒さんが本気で欲しがったアンティークの
ロープチェーン
「手と手を取り合う『フェデリング』の存在は、前から知ってたんですけど、今回出会ったのはリングじゃなくてネックレスなんですね。それも結構長くて、80~100センチくらいあって。そして手のモチーフが片手だけだったんですよ!」
「ってことは、もう一つの片手がどこかにある?」
「そう! 絶対に世界のどこかにあるぞって思ったんですけど(笑)。その片割れだけでも欲しいなと思って、そのお店を何度も行きつ戻りつしたんですけど、何せ金額が…(苦笑)」
「結構なお値段してましたよね?」
「100万くらいしたのかな? ちょっと衝動買いは出来ないお値段でした(笑)。でも本当によく出来ていて、あ~っ、今でも忘れられない! 夢に出て来るくらいです(笑)」
「最後まで悩んでましたものね(笑)」
「撮影の合間で時間がなかったから、踏ん切りもついたけど、もし時間があったら主人に相談していたかも(笑)。それくらい本当に欲しいと思ったジュエリーだったんですけど、小俣さんはそういう出会い、ありましたか?」
小俣さんの心に残ったジュエリー
▲ 小俣さん垂涎!ミャンマー産サファイア
「私も素晴らしい石と出会いました! ラスベガスのショーは、香港やイタリアなどのショーに比べると、石の値段は高いんですが、品質がいいものが揃っているのが特徴で、スーパーバイヤーも何点か買い付けされていました。そこで私が一番印象に残ったのが、(スマホの写真を見せて)このミャンマーのサファイア! これがものすごくきれいだったんですよ!」
「これはすごい!」
「こんなサファイア見たことない!と思って、思わず写真を撮ってしまったんですけど、コーンフラワーとロイヤルブルーを足して2で割ったような?」
「本当に素敵ですね。大きさってどれくらいですか?」
「10キャラットはあったかな?」
「指にのせたら、はみ出す感じですね(笑)」
「これが私の中では、今回一番印象に残ってます。」
「お幾らぐらいなんでしょうね?」
「すご過ぎて聞けませんでした…。」
「きっと数千万から億はすると思います。」
「本当に素晴らしかったです!」
ラスベガスで得たこと
▲ アンティークティアラを載せ
させていただきました!
これで願いが叶う…!?
世界最高峰の宝石の祭典を初体験して、大興奮の目黒さん&小俣さん。
最後に「ラスベガスで得たこと」を聞いてみると…?
「私はやっぱり『クチュール』に刺激をもらいましたね。日本では絶対にお目にかかれない世界を堪能させていただきました!」
「私はアンティーク! ジュエリーの一時期を自分が担って、次の世代に伝えたいって思わせるような、そんな素晴らしいクラフトマンシップにあふれたジュエリーと出会えた気がします。あっ、素敵なアンティークのティアラもあったので、小俣さんがウェディングで着けられますようにって、頭の上に載せて来ました(笑)」
「はい、載せていただきました! 願いが叶うといいんですが(笑)」
ともあれラスベガスで最新のジュエリー情報を仕入れてきた、「石ガール」たち。BS-TBS放送 「麗しの宝石物語」ラスベガス編にも、二人が出演しています。併せてお楽しみください!
小俣 友里
ジュエリーコーディネーターとして、GSTV出演をはじめ、セミナーや展示会、商品プロデュースなど、ジュエリー業界の第一線で活躍。「ジュエリーの真の美しさは、手にする人を内側から輝かせる」が信念。