(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2018年8月号掲載)
【石ガール通信】第八回 「ラスベガス・ジュエリーショー」訪問記<前編>
今回は、GSTVが誇るコメンテーター陣の中から、石ガール認定2号の目黒佐枝さん&石ガール認定6号の小俣友里さんが、アメリカ・ラスベガスで行われた、世界最大級のジュエリーショーへ!
ワクワクドキドキの初体験を、興奮冷めやらぬトークで振り返ります。
今年のトレンドは?
二人が出かけたのは、「JCK ラスベガス」「クチュール」「アンティークジュエリー&ウォッチ」という、3つのショーからなる宝石の祭典。会場を見て廻った二人に、まずは今年のトレンドを聞いてみることに。
「放射状に広がったデザインが、けっこう目につきましたよね。イガイガした感じというか?」
「トゲトゲの栗のような、ウニのような?着けたら痛そうな?(笑)」
「白蝶とかラピスの上に水晶系を重ねた、二層構造のものもよく見たんですけれど、本当に素敵でいいなと思いました。高級ジュエラーでも今『重ねる』のは流行りみたいなんですけれど、ラピスなどの宝石と乳白色のものを重ねる組み合わせなら、意外と取り入れられるんじゃないかと思いました。」
「原石の形を活かしたラフな感じのジュエリーも、たくさんありましたね。ラフカットをそのまま活かして、ボリュームのあるネックレスやリングにしたりして、素敵でした。」
「エメラルドやタンザナイトの巨大な石を使ったジュエリーも、多かったです。どうやら投資家が資産として買うそうなんですが、とにかく大きい!ひたすら大きい!(笑)」
「大きかったですね。」
「ジュエリーで投資っていうと、例えばダイアナ妃が持っていた宝石だから、来歴がついて価値が上がるとかって思ってたんですけど、今回目についたのは新品で、現在の投資家は、デザインというより石自体に価値を求めてるのかもしれませんね。」
「クチュール」の魅力
ラスベガスのジュエリーショーを見るのは今回が初めてという二人。
それだけにテンションも上がりまくりだったそうですが、それぞれ何を楽しみに会場へ向かったのでしょうか?
「私は『クチュール』を楽しみにして行きました。『クチュール』は350のデザイナーさんがブースを出してるんですけど、素敵なホテルの中で開催されているので、普通の展示会とはもう空気が違って。」
「じゅうたんもフカフカでした(笑)。」
「出展してるデザイナーさんの顧客が、みんなスゴいんですよ。アンジェリーナ・ジョリーやヒラリー・クリントンだったり、マドンナやジョニー・デップだったり。そういう方たちと同じジュエリーを見られるっていうことに、私はすごくドキドキしました。」
「セレブリティは、クチュールのジュエリーを着ける時は、まず自分が最初に着けるって言いますものね。無難なものじゃなくて、斬新なもの。クチュールならではの、他の人が持ってないようなもの。」
「それが一流のハイブランドではなくて、1デザイナーさんとしてブースを出している。見てて飽きないんですよね、どこをとっても。重ねてハンバーガーになってるデザインがあったり、とにかく斬新!」
「それで思い出しました!上に象がいて、もし象がお酒を飲んだら体がピンクになるかもしれないって、ピンクサファイアがついてたり。そういう空想がいいんですよね。」
「もうアートの世界ですよね。色んなストーリーがあって。デザイナーさんって、世界情勢だったり、自分の身の回りで起こることを、エッセンスとしてジュエリーの中に取り込んだりすると思うんですけど、その世界観の作り方が皆さん、すごく上手。表現方法が絵じゃなくて、ジュエリーだったって感じですよね。」
「そうですね。」
「すごく個性豊かで、私はジュエリーを見てるんですけど、どこかギャラリーを廻っているような?そんな気がしてきました。」
「個性豊かで斬新といえば、どう見ても『ムール貝のワイン煮』にしか見えないリングもありましたよね(笑)?」
「そうそう(笑)。のぞくと中に宝石が入ってるんですけど、明らかに貝にしか見えなくて、目黒さんと二人で笑ってたら、それが賞をとっちゃって!」
「ムール貝がまさかの受賞(笑)!ああいう斬新さがクチュールなのかもしれないですね。」
「デザイン自体が出尽くしてしまっているから、あとはもう目新しさってことなんでしょうね。」
「アンティーク」の魅力
「目黒さんは何が楽しみだったんですか?」
「今回すごく楽しみにしていたのは、『アンティーク』!アンティークといっても本当に古いもの、1800年代より前のものはあまりなくて、1900年代のものがほぼメインかなっていう感じでしたけど。ただ歴史に残るようなデザインのもので、あの有名な人が持っていたっていうのを、それこそ本とかで見たことがあったけれど、それと同じものが二つ作られていたかもしれなくて、それを手離している人がいて、そこに陳列されてるんです。」
「何かスゴいものがあったんですか?」
「あったんです!私が夢にまで見たグレース・ケリーのパールのジュエリーで、レーニエ公が個人として贈ったネックレスとお揃いのイヤリングがあるんですね。そのイヤリングとデザインが全く同じものが出ていて、うわっ、おかしいなと思ったんです。」
「レプリカですか?」
「もしかしたら同じものがいくつか作られていて、セットで買ったのかもしれない?それを手離したものが陳列されてるんだと思うんですけど、あれは感動したなあっていう気持ちが自分の中にあるんですよね。」
「なるほど。」
「アンティークにはデタッチャブルといって、いくつも合わさって、取り外して着けることも出来るタイプのものがあるんですけど、それぞれのパーツがあちこちのお店に散っていったんですよね。それを探し求めることが出来るっていうのが、何かロマンっていうか、すごく嬉しくなってしまって。」
「アンティークの良さって、歴史を自分が感じられるっていうか。ただ美しいジュエリーを身に着けるっていうんじゃなくて、それを身に着けていた方がいて、その方がどんな人生を歩んで、どんな経緯でそのジュエリーを手離したのか。そういう歴史を自分の中でイメージするのが楽しいんだなって思います。」
「そうなんです。アンティークって『所有する』というより、『預かる』イメージ。次の世代に贈るために、一時期を担ってあげてるんだなっていうのを、すごく感じました。」
「アンティークは次世代への『預かりもの』ですね。」
「そう、次の人に引き継ぐまでの『預かりもの』ですね。大切なジュエリーの一時代を、自分が担うのはすごくいいと思います。」
「目黒さんは『預かりもの』してないんですか?」
「それが今回、素晴らしいアンティークに出会ったんですよ!」
気になる続きは、次号の後編で! ラスベガスのジュエリーショーをめぐる、石ガールたちの熱烈トークはまだまだ続きます。
乞うご期待!
小俣 友里
ジュエリーコーディネーターとして、GSTV出演をはじめ、セミナーや展示会、商品プロデュースなど、ジュエリー業界の第一線で活躍。「ジュエリーの真の美しさは、手にする人を内側から輝かせる」が信念。