(番組ガイド誌「GSTV FAN」 2018年10月号掲載)
【石ガール通信】第十回 江口 由美さん
宝石をこよなく愛す「石ガール」が、「石」の魅力をお伝えする「石ガール通信!」
今回は、GSTVが誇るラボ「GSTV宝石学研究所」で、アヒマディ所長の右腕として活躍する ジェモロジスト(宝石鑑別士)、江口由美さんをクローズアップ。
宝石の特性をお客様に正確にご紹介するために、一日中「石」と向き合う、正真正銘の「石ガール」です。
宝石学の観点から「石」を見つめる江口さんに、石への想いを聞きました。
公務員から石ガールへ!
▲ アヒマディ博士に誘われ
「GSTV宝石学研究所」 へ!
入り口付近でパチリ!
江口さんが「石ガール」になったのは、県庁勤めの公務員生活から一転、宝石の研究・鑑定機関への転身を果たした18年前。宝石鑑別士をしていた妹さんが寿退社することになってポストが空き、「面白そうだな」と思って、誘われるまま軽い気持ちで入った江口さん。それまで特に石が好きだった訳でもなく、石の知識も全くなかった上、宝石学を学ぶには年齢的に少し遅めのスタートだったため、勉強は大変でしたが、わずか数年で国内の資格をはじめ、英国宝石学協会認定「FGA」、米国宝石学会認定「GIA.G.G」を取得。鑑別士としてのキャリアを積み重ねるにつれ、石への想いもより深まっていったといいます。
「宝石のことを全く知らずに始めたので、最初は大変でした。でも石に触れるうちに、だんだん楽しいと思えるようになってきて。ひたすら顕微鏡で石を見る地味な作業なんですけど、石の中に入っているインクルージョンなどを見ることで、どこからきた石なのか?など、特性を知ることが出来るのが、楽しくなりました。」
そんな江口さんが「GSTV宝石学研究所」へやって来たのは、ラボが出来て半年後の昨年春。かつて同じ研究機関で働き、研究者として慕っていたアヒマディ博士から声がかかり、GSTVに転職。ラボで鑑別するようになったのです。
顕微鏡で見つめる『石』の世界
▲ 寒さと格闘しながら?!
一日で約80個ものジュエリーの鑑別!
ジェモロジスト江口さんの仕事振りを紹介するべく、スタジオと同じフロアにあるラボを覗くと、そこには白衣姿で顕微鏡に向かう江口さんの姿が…! 製品となったジュエリーを鑑別するのが主な仕事で、その数、一日で約80個。顕微鏡や高度な分析機器を使って、宝石から正しい特性を導き出し、質の高い「鑑別書」を作成しています。
「ラボでは一日中、顕微鏡で石を見ています(笑)。鑑別にかかる時間は、5分で終わるものもあれば、1時間以上かかってしまうものも。よくそんなに見ていられるなっていうくらい、ひたすら見てるんですけど、飽きないですね。その代わり、肩凝りはヒドイです(笑)。あと冷房! 機械が加熱するとよくないので、冬でも25度以下。寒さと闘いながら鑑別してます(笑)」
石と向き合う日常の中、新たな発見や感動に包まれることも多いそうで…?
「アヒマディさんが鉱山から持ち帰ったサンプルを見て、データを取ったりすることもあるんですけど、中に入っているものを見ていくと、色んなことが解る。例えば石の中にインクルージョンとして液体が入っていて、その中にさらに気体が入っていたりする。石を傾けると、気体が液体の中で上下に動いたりして、石って面白いなあと改めて思ったり。まあ顕微鏡で見ないと解らない世界ですけどね(笑)」
公務員としてお役所勤めをしていた生活も、今は昔。地球が育み、同じものは2つない鉱物の世界に、すっかり魅せられた江口さんはもはや、GSTV最強の「石ガール」と言っても良いかもしれません!?
休日はミネラルショー
▲ 集めているクォーツ中のインクルージョンで 石名は
「パパゴアイト・イン・クオーツ」
▲ 江口さんの好きな石「ターフェアイト」のリングと
ペンダント
そんな「石ガール」江口さんの趣味は、休日のミネラルショー巡り。
「クォーツの中に入っているインクルージョンを集めていて、ミネラルショーで面白いものを探すのが好きですね。持っていないインクルージョンの種類を見つけたら買い足して、今では30点くらい。石の種類で個人的に好きなのは、希少石の『ターフェアイト』。淡い紫色が好きなんですけど、高価な上に(笑)なかなか良い色と巡りあえず、まだ3点しか持っていません。いつか素晴らしい石と巡りあって、自分の目で鑑別したいですね。」
師匠・アヒマディ博士
アヒマディ博士と10年に及ぶ交流があり、アヒマディ博士を鑑別の「師匠」と仰ぐ江口さん。
博士の人柄について聞いてみると…?
「とにかく元気! いつもエネルギーを吸いとられてます(笑)。一日中、石のことばかり考えて、石のことばかり喋ってます(笑)。でもアヒマディさんから学ぶことは本当に多くて、まだまだ修業中の私にとっては、一生かかっても追い付かない存在。ひたすらその背中を追いかけるだけですね(笑)」
ちなみにアヒマディさんと「石」以外の会話をすることってあるんでしょうか…!?
「ないですね(笑)。アヒマディさんはラム料理が好きで、時々一緒に食べに行くんですけど、お酒を飲んでも石のことをずーっと喋ってます。まあ共通の話題が他にないっていうのもありますけど(笑)。でも『知らないことを知っていく』っていう面白さがあるので退屈はしません(笑)」
最後に江口さんからGSTVをご覧の皆さんへ…。
「私個人の考えとしては、石は飾っておくより、是非ジュエリーとして身に着けていただきたいです。なぜなら石はカットした以上、セットするように作られているので、是非ジュエリーにセットして身に着けて欲しいと思うんです。その方が石も絶対に喜びます(笑)!」
高度な鑑別技術で、アヒマディ博士と共に、GSTVのジュエリーを支える江口さん。
「最強石ガール」の活躍に、今後もご期待ください!!