【私の宝石物語】タレント 荒木由美子さん≪前編≫

各界で活躍する有名人の方々が、宝石への想いを紡ぎ出す「私の宝石物語」。
今回は、歌手・湯原昌幸さんの妻で、自身もタレントとして活躍する荒木由美子さんにインタビュー。
荒木さんをめぐる宝石と、その「ご縁」についてお聞きしました。

荒木由美子さん

 1970年代後半から1980年代前半にかけて、アイドルとして人気を誇った後、23歳で、13歳年上の湯原昌幸さんと結婚し、芸能界を引退した荒木さん。新婚2週間で湯原さんのお母様が倒れ、その後20年間は介護と子育てで必死でしたが、そんな大変な生活の中でも、妻として女性として、最低限のオシャレは心がけていたといいます。

「心がかさつくのが嫌だったんですね。介護やって子育てやって、どんなに走り回って、どんなに泣き叫んでも、毎日きちんとお化粧して、外に出たら笑顔!を心がけていました。そんな中で宝石っていうのは、一番のオシャレでしたね。介護してるから、家で指輪は出来なかったけれど、出かける時は『どれにしようかな?』って選ぶのも気晴らしになったし。宝石ってチカラがあるから、守られてるっていう感じもあったと思います。」

 20年間介護したお義母様を、2003年に見送った後、芸能界に復帰するつもりはなかったそうですが、自らの介護体験を綴った著書「覚悟の介護」が話題となり、「介護」をテーマにした講演などを中心に、芸能活動を再開。「宝石」を身に着ける機会も増えたそうです。

「主人の母からもらった指輪もあるんですよ。大きな翡翠の指輪で、結婚してすぐにもらったんですけど、まだ20代の私にとってはちょっと地味で、なかなか着けるチャンスがなくて。それにもらった時は、石は横置きで台座はシルバー、枠も大振りだったから、よけいにする機会がなくて。でも義母が『お守り』のようにくれたものだったから、お着物を着る時とか何かの記念の時に着けよう!と思って、石を縦置き、台をゴールドに変えて、大切に使っていたんです。」

▲ご主人のお母様から貰った翡翠の指輪

▲「事件」後に、ご主人・湯原さんが
買ってくれた指輪

 ところが、今から5年前。思いも寄らない悲しい出来事が、荒木さんを襲ったのです。

「おばあちゃん(義母)からもらった翡翠の指輪も、実家の父の形見の金の指輪も、ルビーの婚約指輪もゴールドとプラチナのコンビの結婚指輪も、銀婚式の記念に買ってもらったハート型の指輪も、どれも大事に大事にしてきたんですけど、自宅に泥棒が入って、宝石箱ごと全部盗まれちゃったんです!」

 師走の夕方、ほんの1時間ほど家を留守にした間の出来事で、荒木さんは呆然自失! ショックでしばらく立ち直れなかったといいます。

「腰が砕けるって、ああいうことをいうんですね。だって現金も置いてあったのに、それには手を付けず、私の宝石だけ持って行ったんですよ。それも主人や息子さえ知らない『二重引き出し』の中に入れていたのに!(笑)どれも想い出がいっぱいあったので、もう悔しくて悲しくて!」

 その中には、アイドル時代に自分で購入した、想い出の詰まったジュエリーも。

「十代の頃に自分でお金を貯めて買ったジュエリーも、沢山あったんですよ! 当時は水着の撮影で、毎月のように海外に行ってたんですけど、その度に自分へのご褒美みたいにして、ちょっとしたジュエリーを買っていて。若い頃に買ったものだし、今ではもうすることはなかったけど、例えば息子が結婚したらお嫁さんに、なんて思って、一つにまとめてとってあったんです。でもそれも全部! 想い出がありすぎて、本当にショックでしたね。」

 年が変わって新年になっても、気持ちが晴れずにいた荒木さん。見かねたご主人・湯原さんが、こんな言葉をかけてくれたそうです。

「『由美子が可哀想! 指輪買いに行こう!』って! それも二人でテレビの生放送に出ている最中に(笑)。宝石を持っていてこんな思いをするなら、宝石なんかもう要らない!とさえ思っていたんですが、『年が変わって気持ちも変えた方がいいし、宝石にはそういうチカラが宿るっていうだろ?』って言って。ちょうど誕生日がやってきたこともあって、素直に買ってもらうことにしました(笑)。で、二人で宝石屋さんに行って一応『湯原さんが選んで!』と選んでもらったものの、その時にはもう私の方がノリノリになっちゃって(笑)、自分で選んだゴールドとダイヤの指輪を買ってもらいました!」

 さらに、こんな「奇跡」も起こりました。

「盗まれたと思っていた、おばあちゃん(義母)の翡翠の指輪。これがある日、家の中で見つかったんです。自分でも忘れていたけど、宝石箱じゃなくて、別のところにしまっていたんですね。見つけた時にはもう号泣! おばあちゃんが守ってくれた!と『ご縁』を感じて、それまで以上に大切なジュエリーになりましたね。」

 宝物のジュエリーを失ったことは辛い体験でしたが、その経験があったからこそ、「何が本当に大切なのか?」に気付くことが出来たという荒木さん。

 宝石が繋いでくれた、今は亡き「心友」との「絆」の物語など、まだまだ続く荒木さんのジェムストーリー。
次号の後編もお楽しみに!

荒木由美子さん プロフィール

1960年 佐賀県生まれ。
1976年「第1回ホリプロ・タレントスカウトキャラバン」にて「審査員特別賞」を受賞し、芸能界デビュー。
歌手・女優として活躍。1983年、歌手・湯原昌幸さんと結婚し、芸能界を引退。結婚2週間後に倒れた義母を20年に渡って介護し、自らの体験を綴った著書「覚悟の介護」を、2004年に出版。これを機に芸能界へ復帰し、介護や家族の在り方などをテーマに、全国で講演活動。夫・湯原昌幸さんとの「おしどり夫婦」ぶりも注目され、夫婦での共演も人気を呼んでいる。

番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」 2016年11月号掲載)

私の宝石物語へ戻る