【私の宝石物語】歌手・由紀さおりさん≪後編≫

各界で活躍する有名人の方々が、宝石への想いを紡ぎ出す「私の宝石物語」。今回は、前編に引き続いて、歌手の由紀さおりさんが登場。華やかな歌手人生を彩ってきた「宝石」への想いに迫ります。

由紀さおりさん

GSTVが提供する宝石ドキュメンタリー「麗しの宝石物語」(毎週土曜17時〜17時30分・BS-TBSにて放映中)で、ナレーションを担当する由紀さん。もともと宝石は大好きで、その原点は少女時代に遡ります。

「小さい時から宝石が好きで、お祭りなんかで、10円くらいでポコッと穴を開けると、中からルビーの指輪やイヤリングが出てくるの、あったでしょ?あれが大好きでね。自分で作詞した『七才(ななつ)の夏まつり』っていう歌に、『♪10円の宝もの ルビーの指輪』っていう歌詞を書いたこともあるくらい。『あなたはホントにキラキラしたものが好きだったわね』と姉(歌手の安田祥子さん)によく言われますけど、当時からホントに光るものが好きでしたね(笑)」

「宝石」だけでなく、「ハイヒール」に憧れるなど、大人の女性のオシャレに敏感で、ちょっぴり「おませ」な女の子だったそうですが、意外にも「本物の宝石」を身につけるのは、そのずっとあと。 自由にジュエリーを楽しめるようになったのは、ここ十年くらいのことなんだそうです。

「初めての宝石は、結婚した時のエンゲージリング。2回とも(笑)立派なものをいただきましたけど、最初の指輪は泥棒が入って盗まれ、2回目のものはまだありますが、今はすることないですね(笑)」

それ以外の「宝石」を語るとき、そこには、由紀さんのマネージャーを務め、二人三脚の歌手生活を送ってきた亡き母・ふささんの存在があるといいます。

「私にとって宝石は、歌手人生の節目節目で、頑張ったご褒美に、母が買ってくれるもので、それが喜びでした。母とはいつも一緒で、働いたお金も全て母が管理していたので、母が亡くなる十数年前まで、カードも持たせてもらえなかったんです。『私が一緒にいるから要らないでしょ?』っていうのが、母の口癖で。その反動かしらね、今、ジュエリーに夢中なのは(笑)。 一生懸命働いて、今は自分で自分にご褒美あげてます(笑)。」

美しい日本語を歌い続ける歌手としての評判に加え、2011年にリリースしたアルバム「1969」の世界的なヒットもあり、世界各国で歌う機会も多い由紀さん。訪れた国で宝石店を覗くのは、旅の楽しみの一つになっているとか。

▲ ミャンマーで一目惚れして購入した、
ハート型の翡翠

「ブラジルに行ったとき、すごくきれいなピンクのトルマリンの石と出会って、『この国にもう一回来たい』という願いを込めて、その石を買ったんです。そしてここにもう一度戻ってこれたら、指輪にしようって。そうしたら数年後に願いが叶って、石を指輪にすることが出来たんです。ミャンマーでも素敵な宝石に出会いました。とっても綺麗なハート型の翡翠で、ちょっと見たことないようなデザインの指輪で一目惚れ。旅先で買うにはちょっとお高かったけど、『45年も歌って来たんだから、買ってもいいよね?』ってみんなに聞いて回って(笑)。旅先で宝石を買うっていうのは、自分の中の記念でもあるけど、もう一度ここに来たいっていう夢を、石に託す意味もあるんです。 そのためにはそれに向けて、努力していくっていうこともあるでしょ。私にとって『石』は、自分の身を飾るっていうだけじゃなくて、自分の想いを繋げていくための『お守り』のようなものかもしれませんね。」

さらには由紀さん、宝石が放つ光から、様々なチカラをもらっているといいます。

「普段のプライベートでもそうですけど、オートクチュールのドレスを着て、ステージで歌うときは特に、身につけているジュエリーに明かり(照明)が当たって光ると、すごくファンタジックな世界を作ってくれる訳ね。そしてそんな自分の指先に光があるっていうのは、例えば自分の気持ちが落ちていたりすると、その光が勇気をくれるって、ものすごく思うの。こういう仕事をしていく上で、私にはもうなくてはならない必須アイテム。今日は大丈夫かな?ちょっときついなって思うときも、指先に光があると、元気をもらえる気がしますね。」

宝石ドキュメンタリー「麗しの宝石物語」や、「隠れファン」だったことが発覚したGSTVのテレビ放送で、美しい宝石に親しみ、「目の保養」をしているという由紀さん。

「今は他に何の楽しみもないので(笑)綺麗な石を見て、目の保養をさせてもらってます。素敵な宝石って、見ているだけで幸せな気分にさせてくれるでしょ。そして身につければ、勇気や元気をもらったり。宝石が放つ光は、私のエナジー。でもそれに負けない自分でいたいなぁと思うわね。」

ジュエリー★一問一答

一番好きな宝石は?
やっぱりダイヤモンド! ダイヤは洋服を選ばないし、デザイン次第でカジュアルにもフォーマルにも使えるので、一番よく身につけますね。
一番大切にしている宝石は?
母の形見のルビーの指輪。生前から「あなたに遺すから」と約束されたもの。3カラットのルビーの両サイドに、ダイヤがついているものでしたが、デザインが私っぽくなかったので、リメイクして使っています。
ジュエリーをプレゼントするのがお好きだそうですが、最近は?
60年代の名曲をカヴァーしたアルバム「VOICE2」を去年出したんですが、その際にコラボしていただいた坂本冬美さんと平原綾香さん。それぞれレコーディング終わってOKが出たときに、ゴールドのパールのネックレスをプレゼントしました。二人ともすごく喜んで下さって、冬美さんは、私に会う時にはつけてきてくれます。平原さんにはその後、お会いしていませんけど、キャーって大喜びしてくれてましたよ(笑)
宝飾品は由紀さんにとって、どんな存在ですか?
宝飾品は自分の生きてきた証(あかし)かしら。

▲ お母様の形見をリメイクした、
一番大切なルビーの指輪

由紀さおりさん プロフィール

群馬県桐生市出身。
1969年「夜明けのスキャット」でデビュー。女優としても、映画、ドラマに出演。司会、バラエティなど幅広く活躍。姉・安田祥子さんと、美しい日本の歌を次世代に歌い継ぎたいと活動を続ける。2011年、アメリカのジャズオーケストラPink Martiniとコラボしたアルバム「1969」をリリース。世界的なヒットとなる。2013年には「日本ジュエリーベストドレッサー賞」を授賞。60年代の名曲をカヴァーしたアルバム「VOICE2」が絶賛発売中。

番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」 2016年2月号掲載)

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