(番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」 2017年11月号掲載)
【私の宝石物語】音楽評論家/作詞家 湯川れい子さん《前編》
各界で活躍する有名人の方々が、宝石への想いを紡ぎ出す「私の宝石物語」。
今回お話してくれるのは、日本初の女性音楽評論家にして、作詞家、翻訳家としても活躍する湯川れい子さん。
長きにわたって「洋楽」を見つめてきた人生は、果たしてどんな宝石で彩られているのでしょうか。
音楽評論家になって、今年で57年。エルヴィス・プレスリーやビートルズ、マイケル・ジャクソン、マドンナなど、これまでにインタビューしたアーティストは500組以上にのぼり、海外スターの魅力を伝えることで、日本に洋楽の文化を根付かせてきた湯川さん。昨年には何と「傘寿」を迎え、今なお第一線で輝き続けています。そんな湯川さんにとって、運命さえも変えた、とても大切な宝石があるといいます。それは…?
「ダイヤモンドです。人生で最大の出会いをしたのは、ダイヤモンドなんです。」
「人生最大の出会い」、そして「運命さえも変えた」と聞いたら、一体どんなダイヤモンドなのか気になりますが…お楽しみはあとにして、その前に普段使いのジュエリーのお話!
「洋楽のカリスマ」湯川さんは、普段はどんなジュエリーを身に着けているのでしょうか?
「肌身離さず着けているダイヤモンド以外は、日替わりで楽しいものを着けています。でもそれなりにこだわりがありまして…」
と見せてくれたのは、音楽評論家に相応しい「音楽」モチーフのジュエリーや、敬愛してやまないエルヴィス・プレスリーにまつわるコレクション。
「TCB」は敬愛する
エルヴィス・プレスリーの合言葉
プレスリーも愛した「アンク」の
ペンダント&ピアス
日替わりで楽しむ可愛い音楽モチーフたち
「エルヴィス・プレスリーが終生、合言葉にしていたのが『TCB』というワードで、これは何かっていうと、『Taking Care of Business』の略なんですね。直訳すると、『仕事をしっかり』なんですが、彼はこれを『天命を貫け』と捉えて座右の銘にしていました。『TCB』をデザインした指輪を自分でもしていましたし、主だったバンドのメンバーには、『TCB』のペンダントを作ってあげていました。それと同じデザインで、私にもペンダントを作って下さった方がいまして、終生エルヴィスが使ったマークだったものですから、とても大切にしています。今年没後40周年ということで、エルヴィスが暮らしたメンフィスに行ったんですが、同じデザインのピアスが売っていて可愛かったので、セットになるよう買ってきました。」
プレスリーにまつわるジュエリーは、他にもまだあるそうです。
それは「アンク」という古代エジプトで用いられた象徴的なデザイン。
「これもまたエルヴィスがこよなく愛して、いつも胸にかけていたデザインだったんです。最初は何か分からなくて、不思議な十字架みたいなペンダントしてるな~と思ってたんですけど、これがエジプトの女神イシスが手に持つ、『アンク』と呼ばれる『命の鍵』であることを知ったんです。そしてエジプトに行った時、14金のペンダントを見つけて購入しました。お揃いのピアスも、世界を歩いている時のどこかで見つけて買ったものです。」
その他にも日替わりで楽しむアイテムの中には、レコード盤がぶら下がったピアスや、ト音記号のピアスなど、音楽を愛する湯川さんならではの、音楽モチーフのものがズラリ。
「音楽モチーフは旅先などで見つけると、ついつい買ってしまうことが多いですね。世界中で買ってきたものがグチャグチャいっぱいあります(笑)。いわゆる価値のある宝石じゃないけど、その日の服装によって着け替えて、色々楽しんでいます。」
音楽界随一のプレスリー通として知られ、プレスリーさんご本人とも交流を深めた湯川さんですが、かつて結婚したご主人との馴れ初めにも、プレスリーさんが深く関わっているといいます。
「1972年、私が団長となって、エルヴィスのハワイ公演を見に行くというツアーがあって、それに参加した200人の中の1人に、熱狂的なエルヴィスファンの彼がいたんです。そこで知り合ってお付き合いするようになったんですが、彼はなかなか神輿が上がらなくて、私の方からプロポーズしたんです(笑)。そしたら『エルヴィスに会わせてくれるんだったら、結婚してもいい』って言うから、色々策を練って、何とかエルヴィスと会う機会を作って、彼を連れて行くことが出来たんです。」
「エルヴィスに会わせる」という約束を果たして、もちろん彼は結婚を承諾。何とプレスリーさん本人に、結婚の誓いの証人として、サインをしてもらったそうです。
そんな「プレスリー婚」をしたご主人から、結婚の際にもらったのが、ハワイで購入した2カラットのダイヤモンドの指輪。実はこのダイヤが、のちに出会うことになる「運命さえも変えた」ダイヤモンドへのきっかけとなるのですが、気になる続きは次回の後編で、たっぷりご紹介します。
お楽しみに!
湯川れい子さん プロフィール
東京生まれ。1960年、ジャズ評論家としてデビュー。早くからエルヴィス・プレスリーやビートルズを日本に広めるなど、独自の視点によるポップスの評論・解説を手がけ、世に国内外の音楽シーンを紹介し続け、現在に至る。作詞家としても活躍し、「ランナウェイ」「センチメンタル・ジャーニー」「六本木心中」「恋におちて」など、数々の作品で大ヒットを記録。また訳詞の依頼も多く、ディズニー映画「美女と野獣」や、キャロル・キングの半生を描いたミュージカル「ビューティフル」で訳詞を担当。
プレスリー没後40周年のイベント、「湯川れい子スペシャル・トーク・ライヴ エルヴィス・プレスリー没後40年 2017メンフィスELVIS FOREVER!!」が2017年11月15日(水)19時~池袋のLive House Only Youにて開催される予定。