【私の宝石物語】タレント・キルト作家 キャシー中島さん《前編》

 各界で活躍する有名人の方々が、宝石への想いを紡ぎ出す「私の宝石物語」。
今回は、ハワイアンキルトの第一人者としても活躍する、キャシー中島さんが登場。
溢れるアイディアで次々と美しい作品を生み出すキャシーさんは、どんな宝石に魅せられているのか、そのジュエリー観に迫ります。

キャシー中島さん

 華やかな容姿と朗らかなキャラクターで、現れただけでその場を明るくする、まさに大輪の花のようなキャシーさん。

 そんなキャシーさんが、まず披露してくれたのは、大切にしているパールのコレクション。何よりもパールが好きで、普段からパールを身に着けることも多いといいます。

「パールが大好きで、理想のパールを求めて、あちこち探すうちに出会ったのが、タヒチアンパール。それからは毎年タヒチに行って、パールを買うようになりました。(ネックレスを示しながら)これはブラックだけど、ピーコックが入ってます。こちらは欲しかったブルー系。これはシルバー系ですね。」

 と、微妙に色合いの違うパールを紹介してくれたキャシーさんですが、さすが手芸家だけあって、自慢のネックレスは全て手作り!自分で繋いだものなんだそうです。

「タヒチで買ってきたパールを、自分でネックレスにしました。タヒチのパール問屋さんに行くと、箱にいっぱいパールが入っていて、それをベルベットの上に出して、『この色が好き』っていうパールを一つ一つ探し出して。だから全部好きな色だけ。それを自分で繋いで、留めやすい金具を付けてネックレスにするんです。」

手作りしたタヒチアンパールコレクション

ハート形のケシパールを
真ん中に配したネックレス

ケシパールのネックレスと
ご主人からもらった指輪

 「好きな色のパールだけを繋ぐ」なんて、自らの手で「美」を紡ぎ出すキャシーさんならではの、素敵なジュエリーの楽しみ方ですが、そんなキャシーさんが、パールの中でも特に気に入っているのが、「ケシパール」。核のない天然真珠で、砂粒などに真珠層が巻きついて出来るもので、小さな芥子(けし)の実に似ていることから、この名が付けられたと言われています。

「ケシパールが好きで、世界中で探して探して、やっと見つけたのが、やはりタヒチだったんです。なぜケシパールが好きなのかって? それはもう、世界に1個だけの形だからです。バロックパールとケシパールって似てますけど、バロックは核が入ってるから、ある程度、形が予測できるじゃないですか? でもケシパールはどんな形が入っているか分からないから、それが一番の魅力。色んな形があって、それこそ1個だけなので、気に入ってますね。」

 もちろんタヒチで買って帰ったケシパールも、手作りネックレスにしています。小さなケシパールを繋いで何連ものネックレスにしたり、ゴールデンの華やかな色合いを活かして、ボリューム感のあるネックレスにしたり。中でも気に入っているのが…。

「タヒチでハートの形をしたケシパールを見つけて、そのパールのためにネックレスを作りました。タヒチにモーレア島っていうハート形の島があって、愛の島って呼ばれているんですけど、その形に似てるパールを見つけて気に入ったので、これをネックレスにしようと。ハートがちょうど真ん中にくるようにして作ったんです。一番のお気に入りですね。」

 自分で選んだパールで作る、まさに世界に一つだけのジュエリー。パールというと、フォーマルなシーンでの出番が多いかと思いきや、ケシパールは真珠層が厚く、汗水に強いため、普段のカジュアルなファッションに合わせることも多いそうです。

「パールって、身に着けてると落ち着きません? 私、パールを着けると、すごく落ち着くんです。ケシパールなら汗水にも強いから、フォーマルはもちろん、普段使いにもオススメだと思います。」

 キャシーさんといえば、ご主人は俳優の勝野洋さんで、芸能界きってのおしどり夫婦として知られています。いつも仲良しなラブラブぶりから推察すると、ご主人・勝野さんから、さぞかし素敵なジュエリーをプレゼントされているのでは…!?

「主人からもらったジュエリーですか? 一つもありません(笑)。どうしてかというと、私は好きなものしか身に着けたくないタイプだし、じゃあ一緒に買い物に行って自分で選んで…っていうことも、主人は買い物が好きじゃないから付き合ってくれない。だから宝石は自分で買って、事後報告ですね(笑)。」

 1979年に結婚。当時は駆け出しの俳優とモデルで二人とも若く、ブライダルにお金をかける余裕もありませんでした。

「婚約指輪は11000円で買ってくれた金のリングだったんですけど、どこかに失くしちゃいました(笑)。やっぱり安いものは失くしちゃうんだなあって(笑)。結婚発表は借り物の指輪で会見して、結婚して7年目に初めて指輪を買ってもらいました。3.5カラットのダイヤの指輪を、しかも分割で(笑)。そして15年目に買ってもらったのが、5.5カラットのダイヤの指輪。シャンパンカラーのマーキースで、ひっかかりもないので、普段からいつもしています。」

 ご主人に買ってもらったのは、この2つだけですが、実はこんな約束もあったそうで…。

「7年目、15年目と買ってもらって、『次は30年目に10カラット買ってね!』なんて約束したのに、買ってもらわないまま、もう8年も過ぎちゃいました!(笑)。まぁ10カラットがいくらするのかも、知らないような主人ですしね。私もそんなに頻繁に着け替えるタイプじゃないので、今持っているものを大切に着けたいと思います。」

 キャシーさんを彩るのは、自ら作り出す、世界で一つだけのジュエリーと、ご主人の愛が込められた、ダイヤの指輪。そしてもう一つ、キャシーさんが宝石を語る上で欠かせないのが、今は亡き愛娘・七奈美さんとのジュエリーの想い出。

次号の後編では、家族の絆を深めた、素敵なジュエリーのお話をお届けします。

キャシー中島さん プロフィール

ハワイ・マウイ島生まれ。
1969年モデルとして芸能界デビューし、その後タレントに転向し活躍。1979年、俳優・勝野洋さんと結婚し、専業主婦に。子供が幼稚園の頃、趣味のパッチワークをママ友に教えたのがきっかけとなり、芸能活動を再開しながら、パッチワークスクールを主宰。ハワイアンキルトの第一人者となる。アップリケキルトの製作者としても、数々の国際大会で入賞。芸能一家としても知られ、ファミリーで制作する舞台「横浜グラフィティ アゲイン」が、2/28(火)~3/5(日)まで、六本木の俳優座劇場にて上演予定。キャシーさんが育った当時の横浜を舞台に自ら原案を書き、次女・雅奈恵さんが脚本&演出、夫・洋さんと長男・洋輔さんが出演。洋輔さんは衣装も担当する。

(番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」 2017年2月号掲載)

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