BS-TBS 麗しの宝石物語 〜アフリカ大陸の宝石たち〜
人類発祥の地とも言われているアフリカ大陸。アジア大陸に次いで2番目の大きさを持つ大陸です。サハラ砂漠より南は、かつて「暗黒の大陸(ブラックアフリカ)」とも呼ばれたり、20世紀まで奴隷貿易が行われていたりと、いまだ未開の地というイメージがありますが、文明自体は古代から存在していたそう。麗しの宝石物語をご覧いただいている方はピンときていると思います。そう、そのような場所には必ず素晴らしい宝石があることを・・・
8月の麗しの宝石物語は以前の放送で訪れた地をもとに、新たに再編集した内容でのお届けとなります。
そして翌月9月の放送はアフリカで採掘される宝石にスポットを当てます。モザンビークベルト上に存在する2ヶ国、モザンビーク、タンザニアを訪れ、それぞれの地を代表する宝石の形成の秘密や文化など幅広い角度からお届けします。
大きなアフリカ大陸同様、本コラムも2ヶ月に渡る拡大版!どちらもお見逃しなく!
アフリカ(前編)
さまざまな宝石の原石が形成される「モザンビークベルト」
▲ 厳重な警備がされるモンテプエズ鉱区入口。
▲ 精力的に調査をするアヒマディ博士。
今回の目的地はモザンビーク、タンザニアです。アフリカは治安や衛生面に不安があるのですが、宝石を生業としている以上、必ず行かなければならない場所です。そしてその目的地には、ある興味深いものが存在します。それは「モザンビークベルト」。「広域変成岩帯」と呼ばれる地層です。この地層は5億5千万年前から9億5千万年前の間に、地殻の構造変化とともに形成されたと考えられていて、その地層の中にはさまざまな宝石の原石も形成されています。
実はこのモザンビークベルトが通る場所にある国が、モザンビーク、タンザニア。今回の撮影ではGSTVゲストのカピルさんと理学博士アヒマディさんが同行。いろいろな見方で宝石を楽しむことができそうです。
世界最大のルビー鉱山「モンテプエズ・ルビー鉱山」
羽田からカタールのドーハ、ケニアのナイロビを経由してモザンビークのペンバに到着。そこから170キロほど西にある町、モンテプエズへと向かいました。この地での目的は2009年に発見された世界最大のルビー鉱山 モンテプエズ・ルビー鉱山(Montepuez Ruby Mining)の訪問です。
鉱山到着後、さっそく動き出したのがアヒマディ博士。完全に学者の目で地層を調べ始め、5億年前の川の跡である一次鉱床(注1)では無数の堆積したルビーを確認できました。次に見に行った二次鉱床(注2)では巨大な重機を使って毎日数十トンもの土砂を採掘しています。
ここでもアヒマディ博士は果敢にルビーの採取に挑戦。学者さんは研究のためならどこにでも飛び込んでいくんだろうな、と感心しながらその様子を伺っていました。残念ながらその地層では1トンの土砂から数カラット分しかルビーは採掘されず、大きなルビー原石の採取を望んでいたアヒマディ博士の挑戦はちょっと失敗?だったのかもしれません。
次に集められた土砂を洗浄する場所にやってきました。近代的な大規模なシステムで効率よくルビーとその他を分けていきます。ここではかなり多くのルビー原石を見ることができました。そして次にソーティングです。最後の工程で集められた原石を、色や品質、大きさなどで分けていきます。ここでもアヒマディ博士はモザンビーク産ルビーの特色や質をチェックしていました。
今回のコラムはアヒマディ博士中心でしたが、後編はおなじみカピルさんがタンザナイト鉱山で大活躍!?来月号のレポートもお楽しみに!
▲ 一次鉱床全景。
▲ 一次鉱床から採掘されたルビーの原石。
▲ 二次鉱床全景。
▲ 二次鉱床でルビー原石の採取に挑戦!
▲ 選別前の原石の中で光るルビー原石。
▲ 選別されたルビー原石。
注1:宝石が形成された場所で商業ベースでの採掘が可能な鉱床
注2:堆積した砂から採鉱する鉱床
今回の模様は9月放送の「麗しの宝石物語」でご紹介いたします。三大貴石のひとつであるルビー、深い青が 美しいタンザナイト、緑鮮やかで人気のツァボライトを中心にお届けするアフリカの宝石文化をお楽しみください。
(番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」 2016年8月号掲載)