BS-TBS 麗しの宝石物語3月はベールに包まれた宝石王国 ミャンマー
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▲ 黄金の仏塔
3月の舞台は前月放送の先進国アメリカの華やかさとは対照的に、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーです。ミャンマーは近年になって民政化を果たしたとはいえ、古くから続く軍政の色合いをいまだ強く残しています。日本では「ビルマの竪琴」といえば身近に感じるかもしれません。しかし、その背景も戦争下なので暗いイメージは払拭しきれないものがあります。政治的理由によりビルマからミャンマーへの国名改称自体を認めていない国もあり、国際社会の中でも特異な存在です。その謎のベールに包まれた国から産出される代表的な宝石といえばルビー。特異な環境や境遇の中でも宝石は重要な役割を果たしていました。3月はその宝石物語です。
ミャンマー最大の都市 ヤンゴン
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▲ 僧侶たち
今回の目的地はミャンマーです。何回か訪れてはいますが、政情が不安定な点は解消されていないため、少し緊張してしまうのは否めません。反面、バイヤーとしては、そこにある素晴らしい宝石が気持ちを高揚させます。これも職業病?などと思いながら、ミャンマーへと旅立ちました。宝石好きのGSTVをご覧の皆さんなら、ミャンマー産といえば・・・「ルビー!」とすぐ出てくるでしょうね。そう、代表的な宝石はルビーです。
そしてルビーの中でも「ピジョンブラッド」と呼ばれる価値あるルビーが産出される国、それがミャンマーなのです。ルビー以外にもサファイアやスピネルの産地でもあります。また、アジア地域で人気のある翡翠の唯一の産地としても有名です。いずれの宝石も最高級レベルが存在するミャンマー。まずは旧都ヤンゴンから向かいました。
ヤンゴンは2006年までミャンマーの首都として発展してきた都市。現在の首都はネピドーですが、首都としての長い歴史もあり、現在でも最大規模の都市として発展を続けています。また、国民の85%が仏教徒でもあり、街並みは仏教建築が立ち並び、まさに東洋的な景観が広がります。
ジュエダゴン・パゴタ
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▲ 黄金の仏塔(上)
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▲ ミャンマーを代表する寝仏(下)
ミャンマー最大の仏教の聖地と呼ばれるジュエダゴン・パゴタ。ここには聖地というにふさわしいルビーの目を持った仏像や黄金の仏塔(パゴタ)があります。とくに仏塔は高さが99.4メートル、その周囲433メートルと迫力のある巨大建造物。なんと仏塔の先端には76カラットのダイヤモンドがはめ込まれているそうです。その他にもダイヤモンドやルビーが数千個使われているまさに宝石の塔です。
エレガントジェムス
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▲ ヤンゴン市内の高級住宅地
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▲ 左:翡翠のロウカン
右:ピジョンブラッドルビー
ヤンゴン市内の高級住宅地にあるミャンマーのセレブが集う最高級のジュエリーショップ。ここではミャンマー産の最高品質の宝石を使ったジュエリーを見ることができました。ピジョンブラッドルビー、ロイヤルブルーサファイア、翡翠のロウカンなどの宝飾品の数々に目を見張るものがありました。
ルビー・サファイア・スピネルが集結した鉱山地区モゴック
次に向かった場所はミャンマー最後の王朝が存在したマンダレーを経由し、そこから車で約6時間の道のりです。その間の道はほとんどが舗装されていないガタガタの道。現在、諸外国の支援を受けて国内の道路の舗装が進められています。これから発展していくであろうミャンマーの現状を如実に表わしているように感じました。そして到着した場所は、ミャンマー最大の鉱山地区モゴックです。
鉱物資源省
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▲ モゴック街
ミャンマーの鉱山を取り仕切る政府機関。基本的に鉱山はすべて政府の管理下におかれています。鉱山の採掘は、固い岩盤からダイナマイトで採掘していく第一次鉱床と堆積した柔らかい土砂などから採掘していく第二次鉱床があり、ルビーは両方から、サファイア、スピネルは後者から採掘されるそうです。ここでは昔、鉱山主が18カラットのサファイアを採掘し、その当時に4000万円で売れたというアメリカンドリームならぬ、ミャンマードリームもあったという面白いお話も聞くことができました。(当時のミャンマーですから今の??億円?)
ルビー・サファイア・スピネルの各鉱山
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▲ 採掘の様子
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▲ 採掘された宝石
これらの鉱山で特筆すべき点は、ほとんどの作業が人力で行われていることです。ということは、採掘に時間がかかる割にこれまでの採掘量は少なく、まだまだ良質のルビーやサファイアが眠っている可能性があるということ。これから機械作業などが導入されていくと、ピジョンブラッドのルビーなど、価値のある宝石が数多く供給されることが期待できるのです。