BS-TBS 麗しの宝石物語1月はブラジル
オウロ・プレット
12月の放送ではダイヤモンドを資産として扱っていたイスラエルと、皇室と宝石とが縁の深いイギリスをお送りしました。新年を迎えて最初に放送する国はブラジルです。奴隷制度が蔓延ったポルトガル植民地時代から、現在の世界有数の経済都市になるまでの間に、宝石も産業面で重要な役割を果たしてきました。金や鉱物資源は今でもブラジルの主要産業でもあります。この世界で5番目の面積を持つ広大な国土から、GSTVでイメージカラーとしているパライバトルマリンやインペリアルトパーズなどは採掘されているのです。宝飾品を思い浮かべながらご覧いただくと、より楽しくご覧いただけるかもしれません。
ブラジル荒野だった土地が世界遺産の街に オウロ・プレット
今回、最初に訪れた場所はオウロ・プレットです。オウロ・プレットは世界遺産にも登録されているバロック様式の建築物が並ぶ歴史感たっぶりの街です。もともと高原であったこの土地を一変させる出来事が17世紀末頃に起こりました。ゴールドラッシュです。周辺の土地から金が採れることがわかり、当時植民地支配をしていたポルトガル人の手により、一気に街に発展したのです。そのような歴史を持つオウロ・プレットでは、鉱物博物館や金鉱の跡、インペリアルトパーズの鉱山を訪れました。
1. インペリアルトパーズを発見した鉱物学校(鉱物博物館)
この博物館は帝政時代の王ドン・ペドロ2世が創設した鉱物学校の建物を利用しています。王様が鉱物資源を重要な産業としていたことがよくわかります。この鉱物学校が発見した宝石の代表がインペリアルトパーズです。
2. シコ・ヘイの金鉱跡
シコ・ヘイは奴隷として連れてこられたアフリカ部族の王で奴隷解放運動の先駆け者。自らの努力により自由と金鉱を手にし、黒人のための協会を作った伝説的人物です。その金鉱跡を訪れました。
3. インペリアルトパーズ鉱山
オウロ・プレットの街から1時間半険しい山道を進んだ先にその鉱山はあります。採掘場では土を掘り返し、その大量の土砂を洗浄した中からインペリアルトパーズの原石を探し出します。しかし、なかなか原石は出てこないほど希少なものです。出てきたインペリアルトパーズはこの地でしか採れない特別な色をしています。
パライバトルマリンの鉱山ムルング鉱山
▲ パライバトルマリンの原石
オウロ・プレットを後にして、次に向かった場所はムルング鉱山です。昨年のサッカーワールドカップで日本代表の試合会場にもなったナタールの街から車で三時間、乾燥地帯の荒野のような場所にムルング鉱山はあります。ムルング鉱山は産地によって微妙な色の違いをみせるGSTVでも一押しの宝石パライバトルマリンが採掘される鉱山です。採掘現場は地下数十メートルまでエレベーターで降りた先にある無数に掘り進められた巨大な洞窟の中です。まるで地下要塞の中に入ってしまったかのよう。現在ではさらに地下数十メートル掘り進められているそうです。ここでは毎日採掘作業がされ、土砂を洗浄して原石を探します。訪問した時には原石は見つかりましたが、宝石に出来るような大きさの原石は見つかりませんでした。
ブラジルの最古ジュエリーブランド「Hstern」リオデジャネイロ
▲ Hstern社のトルマリンコレクション
最後に向かった地はカーニバルで有名なリオデジャネイロです。ここではブラジルのジュエリー文化を広めるコンセプトを持つHstern社の施設を訪れました。Hsternはドイツから移民してきたハンス・スタンが小さな貿易会社からはじめ築き上げたブランド。ブラジルで最古にしてもっとも有名なジュエリーブランドです。本社ショールームにはミュージアムやカット工房、デザインの見学施設があります。この施設はブラジルのジュエリー文化を広めたいというコンセプトで作られていてHstern社の歴史から、ブラジルで採れる宝石の紹介、ジュエリーが出来るまでの実際の作業を見られる展示(工場見学の様)、ハンス・スタンの何百ものトルマリン・コレクションなども展示されています。