BS-TBS 麗しの宝石物語11月はインド
11月は経済成長目覚しいインドです。いまインドといえば優秀な人材の宝庫として知られています。多種多様な宗教、民族が混在してきた歴史がそのような人材を輩出する理由とも言われていますが、注目していただきたいのはそこではありません。
インドはダイヤモンドの宝庫なのです。1725年にブラジルでダイヤモンドが発見されるまでは、インドでしか産出されない「インド石」ともいわれていました。残念ながら現在は採掘されていませんが、世界で最初にダイヤモンドを扱った歴史や技術はそのまま受け継がれてきたのです。ぜひお楽しみください。
世界で最初にダイヤモンドが発見された場所インド
▲ 繊細なデザインのインドジュエリーと、身につけた女性たち
今回訪れるのはインドです。インドといえば、世界四大文明のひとつインダス文明や世界三大宗教のひとつ仏教の発祥地であったりと、特にアジア地域における現代文明の根源となる歴史を持つ国です。古くは王族の支配する国々が存在してその歴史を成し、その後は西欧諸国のインド会社による香辛料等の輸入地域としての争いの場でもありました。
そして1947年に250年のイギリス植民地支配下から独立、現在のインド共和国となった歴史をたどっています。その歴史の中でもダイヤモンドは紀元前4世紀頃に発見されているそうです。インダス文明時代ではラピスラズリやメノウなどを使用した工芸品が存在しており、その文化の流れにのり、ダイヤモンド文化も栄えてきたのでしょう。
王族による宝石の町ジャイプール
▲ 世界遺産のアンベール城と街を行き交う象
▲ 研磨工場に集まったエメラルド
まず訪れたのはインド西北部ラジャスターン州の州都ジャイプールです。この町はもともとマハラジャ(王族系)が作り上げた王国の首都で、王族の地域と一般民の地域とをピンクの壁で区分けしてある、別名「ピンク・シティ」とも呼ばれる町です。
過去には近辺でエメラルドが採掘されたようですが、現在では採掘されている宝石はありません。しかし、その当時の研磨や加工の技術とともに、かつての王族の持つ力により世界中から多くの宝石が集まってきた文化が継続しているのです。
ここではエメラルドやタンザナイトなどの研磨加工工場を見ることができました。
世界最大のダイヤモンド・マーケットムンバイ
▲ 市中心部の商業施設 BKCとブラウンダイヤの原石
次にインド最大の都市ムンバイへ向かいました。「西のムンバイ、東のコルカタ(カルカッタ)」といわれるほどインド経済の主要都市となっています。当然ながらダイヤモンド輸出の港としても栄えてきました。
その証ともいえる場所が「BKC(Bandra Kurla Complex)」。市中心部の商業施設なのですが、23棟あるビルがすべてダイヤモンドのマーケットなのです。何度も訪れてはいるのですが、その規模の大きさにはいつも圧倒されます。
ダイヤモンド加工の最先端スーラット
▲ 最先端技術を駆使するダイヤモンド研磨工場
▲ マーケットの様子
インド最後の訪問地は、ムンバイから北へ約200キロ向かった町スーラットです。ムンバイがダイヤモンドの売買市場、スーラットがマーケットに商品を出す工場、という関係です。
スーラットではダイヤモンドを加工する最先端技術を見ることができました。コンピュータを使って、原石の状態から無駄のないファーストカットをレーザーで行います。最終的には職人さんが研磨をするのですが、原石を最大限無駄にしない最先端の技術が導入されていました。加工時間も大幅に短縮された上に、何と言っても原石を大切にすること自体に感銘するものがあります。
スーラットには加工工場だけではなく、マーケットも存在します。これがまた驚くものなのです。以前ご紹介したスリランカの宝石マーケットは1万人くらいだったのを覚えていますか?なんとスーラットは10万~20万人ほどの巨大マーケット。そしてほとんどがダイヤモンドなのです。年末の上野アメ横や明治神宮の初詣の映像などを思い浮かべていただければ、イメージしやすいかもしれません。その全員がダイヤモンドの売買をしているのです。すごいことですよね。