BS-TBS 麗しの宝石物語10月はオーストラリア
9月放送のコロンビアはいかがでしたか?これといった観光都市がなく、あまり訪れることのない国なので目新しくご覧いただけた方も多かったのではないでしょうか?伝説の黄金都市やエメラルド採掘の歴史など古代から受け継がれてきた世界をお楽しみいただけたことと思います。
そして次に撮影スタッフが向かった場所はオーストラリアです。オーストラリアの代表的な宝石といえばオパールとダイヤモンド。宇宙的な神秘さをも感じさせる七色に輝くオパールや、ダイヤモンドの中でもさらに希少なピンクダイヤなどにまつわる物語をお楽しみください。
大自然が生みだした宝の大陸オーストラリア
▲ まさに「ブラックオパールカントリー」。
ライトニングリッジの標識。
今回、出発する前にあるニュースが流れました。サウスオーストラリア博物館に所蔵されている世界最良のオパール「バージン・レインボー(Virgin Rainbow)」が9月に初めて一般公開される、というものです。写真を見るだけでもこの世のものとは思えません。残念ながら撮影日程後に公開予定なので、実物を見ることは出来ませんが、オーストラリアの代表的な宝石オパールへの期待を高めてくれるニュースでした。
そしてもう一つ、個人的に注目したい場所はピンクダイヤを産出するアーガイル鉱山。これまで採掘量の減少から何度も閉山の危機が囁かれてきましたが、いまだ採掘活動は継続しています。その鉱山から採掘される総量の0.01%程度しか出てこないピンクダイヤは正真正銘の宝物。鉱山の行方にも注目です。残念ながらアーガイル鉱山には私(スーパーバイヤー)は同行できないので、ここのレポートは番組プロデューサーに託したいと思います。
一攫千金の夢の町 ライトニングリッジ ――― Report by Superbuyer
▲ 史跡として保存される、チャーリーネットルトンが掘った
最初の坑道。
オーストラリアに到着後、最初に向かった場所はライトニングリッジです。シドニーから約770キロの大陸東側に位置します。ここは1902年にチャーリー・ネットルトンがブラックオパールを採掘してから、オパールの産出地として栄えました。
ネットルトンが掘った最初の坑道も史跡として保存され、オパールを中心としたジュエリーショップもたくさんあり、まさにオパールが育てた町です。
▲ ライトニングリッジの鉱山内と採掘されたばかりの
原石。
▲ 原石からもその美しさを伺い知ることができる。
ここではGSTVでもお馴染みのマーク・トレモンティさんやオーストラリア先住民族の方にもお話を聞くことができ、ライトニングリッジの誰もがオパールを誇りに思っていることがとてもよく伝わりました。
そして現地で採掘された鮮やかな遊色をもつブラックオパールは、やはり「素晴らしい」の一言に尽きます。決して人の手で創れるものではなく、自然の、そして地球の偉大さを感じます。この偉大さをGSTVでも伝えていきたいと思います。
しかし、かつては新たな鉱山を発見しようと一攫千金を求める人がたくさん訪れる夢の町でしたが、80年代には千人以上の採掘者がいましたが、今では数十人になり、実際に掘っている場所も十箇所もないそうです。ライトニングリッジのオパールも今後希少な宝物になっていくでしょう。
唯一のピンクダイヤ産出地 アーガイル鉱山――― Report by Program Producer
▲ アーガイルのダイヤモンドギャラリー。
▲ 鉱山で採れたブラウンダイヤとピンクダイヤの原石。
貴重なピンクダイヤを取り扱うカナナラの街の
老舗ジュエリーショップと、ピンクダイヤジュエリー。
シドニーでスーパーバイヤーと別れた私たち番組スタッフは、引き続き撮影のためアーガイル鉱山へと向かいました。鉱山に一番近い町カナナラへは大陸北方の町、ダーウィンを経由して飛行機での移動です。日本を縦断するくらいの長距離を、機材を持っての移動となるので結構大変です。また、南半球なので北海道から九州に移動した感じ(寒いから暑い)で気温差もだいぶあります。まずは長袖から半袖シャツに着替え、いざ撮影スタート!
アーガイル鉱山の概観は日本のだんだん畑のよう。これは長い期間、岩盤を掘削して出来上がった何とも豪快な景観です。また、アーガイル鉱山の歴史や採掘されたダイヤモンド原石などが展示されているダイヤモンドギャラリーという施設もあり、鉱山をより詳しく知ることができます。
この鉱山で採掘されるダイヤモンドの90%以上は工業用のダイヤモンド。その中の数パーセントに宝石として使えるものが含まれ、そのほとんどはブラウンダイヤになります。そして、さらに限りなくゼロに近い数パーセントの割合でピンクダイヤが採掘されるそうです。良質なピンクダイヤ自体が世界中でもこの鉱山からしか出てこないことを考えると、ピンクダイヤはとてつもなく貴重な宝石ということ。当然、ピンクダイヤはアーガイル鉱山の象徴になっていて、カナナラの町にあるジュエリーショップでもピンクダイヤが主役。老舗のジュエリーショップで貴重なピンクダイヤジュエリーをたくさん見せてもらえました。また、以前鉱山で働いていた原石を扱うお店でもいろいろなお話を聞くことができました。
今回、ライトニングリッジとアーガイル鉱山を訪れて感じたことは、すべてにおいて規模が大きいということ。アーガイルのすり鉢状の鉱山などは、ローマのコロッセオが地中に入ってしまったかのような壮大な景観でした。そのような簡単に人間を飲み込んでしまう景観がいたるところに存在するオーストラリア大陸の懐の深さ・大きさを感じながら帰国の途についたのでした。