目黒佐枝 ジュエリーコーディネート講座 Vol.6
シーンに合わせたジュエリー選び
若いときには考えもしなかった大切な人との別れ。年を重ねる毎に、慶事よりもお見送りも随分と多くなりました。
今月は、人に聞きづらいシーンについてフォーカスします。アクセサリーは着けない方がよいと言う人もいますが、洋装の仕上げのジュエリーこそ、大事な席には欠かせないものです。
仏式、神式、キリスト教式、また地域性を考慮して考えても、準喪服、略喪服を見ても、悲しみの席に定番となったパールを主体として、見え方を客観的にご覧になれるようにしました。
どれが正式か・・・と言うことが気になると思いますが、正喪服は黒無地五つ紋の着物。当然ジュエリーは着けません。洋装の場合、パールを身に着けるようになったのもごく最近のことです。1900年前半には既にアコヤ養殖が成功していますが、すべて海外がターゲットで日本向けには販売されていませんでした。戦後になってもGHQの指導により、95%以上は輸出向けと米軍基地内での販売に使われ、国内にはほとんど出回っていませんでした。今の洋装喪服にパールが定着したのは、大まかでも60年程度と考えられます。黒スーツやワンピースにプリンセス(40cm~50cm)のパールのネックレスが基準(白パール・黒パール)と考えてよろしいと思います。
おすすめ着用例
一見大きな違いは感じられないかもしれませんが、体格によって選んでも良いと思います。どんなシーンでも万能アイテムです。一生を通じての必需品と言えます。
アコヤでこのミリ数を持てるのはかなり通です。格のあるサイズ珠です。
1970年ぐらいから世界に出回り始めた南洋真珠。南洋は大きさがゆえに華やかに見せてしまう可能性がありますが、小さめの珠、虹色は呈さず、色も落ち着いた統一感があれば弔事にも使えます。
ジェットの歴史は古く、旧石器時代のスイスのケスラーロッホの遺跡やベルギーでも発見されています。真ん中に穴が開いていたので、おそらくペンダントやネックレスにし護符として使われていただろうと言われています。注目を浴びるようになったのは、1800年代後半、英ヴィクトリア女王が夫の死以来、生涯身に着けたことで喪のジュエリーとして認知されるようになりました。ちなみに、明治天皇の昭憲皇太后は、ヴィクトリア女王を尊敬し、装いやしきたり全般を手本としたことから、ジェットも同様に取り入れたことでしょう。お持ちの方は是非お使いください。
1960年代後半、次のステージとしてアコヤ真珠の黒色パールを、豊かなご家庭をターゲットに広告が出され、上級者に紹介及び販売がなされました。当時は高額だったと思います。もし、お持ちでしたら、喪の席には活躍すると思います。
NG
万能なパールジュエリーでも、以下のようなネックレスは、ファッション性だったり華やかな雰囲気を醸し出したりするため、弔事には向きません。言うまでもありませんが、2連以上のものはご法度です。アコヤの染色ブラックパールの他に、最近では南洋のブラックパールがよく出回るようになりました。ブラックパールは、虹色の出方で華やかな印象になるものもありますので、目的によって、商品選びは慎重にしたいものです。
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一粒のパールでチェーンが付いたもの。喪のシーンは金属光沢は避けたい。ただし、結婚指輪は契約のものなので、地金でも着けたままで良いとされています。
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ブラック系パールでも気をつけたい南洋マルチカラースタイル。天然色ならではのラフさが出てしまいます。
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南洋の大粒過ぎるものは、華やかさと迫力が出すぎ、喪のシーンには不釣合い。目立ちすぎないのが弔事のお約束。
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虹色が華やか。また、パーツにダイヤもNG、下がった部分もファッショナブルすぎ、お辞儀するとき、お焼香、或いはご献花であっても調度品にあたる可能性があります。
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起源は、観劇の合間で立ち姿を華やかで美しく見せるための長さとも言われています。弔事はお辞儀が多いので、その度に前後に動くのも落ち着きがありません。
※商品番号が掲載されていない商品は、参考商品です。
(番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」 2016年9月号掲載)