【私の宝石物語】歌手・岩崎宏美さん≪前編≫
各界で活躍する有名人の方々が、宝石への想いを紡ぎ出す「私の宝石物語」。
今回の語り手は、今年デビュー40周年を迎える、国民的歌手、岩崎宏美さん。 数々のヒット曲で輝きを放ってきた音楽人生は、どんな宝石で彩られてきたのか。 煌めきの想い出に迫ります。
16歳だった1975年4月25日。伸びやかな美しい歌声を武器に、「二重唱(デュエット)」で歌手デビューした岩崎さん。40年を数える輝かしい歴史の節目には、いつも、忘れられない宝石との出会いがあったといいます。 最初の想い出は、高校を卒業した18歳の時。岩崎さんを可愛がってくれていた、先輩歌手の方からのプレゼントでした。
「高校を卒業したある日。『夜のヒットスタジオ』の楽屋で、由紀さおりさんが、私と森昌子ちゃんに、卒業祝いで金のブレスレットを下さったんです。細い金色のチェーンにハートが付いているものと、星が付いているものがあって、昌子ちゃんが星の方を選んで、私はハート。今、思うと、百恵ちゃんも淳子ちゃんも卒業したのに、どうして私と昌子ちゃんにだけ下さったのか分からないんですけど(笑)大先輩からいただいたジュエリーだったので、とても嬉しかったですね。勿論、今も大切に持っています。」
1982年に発売された岩崎さんの代表曲、「聖母たちのララバイ」もまた、素敵な宝石の想い出に繋がっています。
「100万枚を超えるヒットとなって、レコード会社から記念のディスクをいただいたんですけど、そのレコード盤になぜかダイヤが一粒付いていまして。しかも結構大きなダイヤだったんです。でもトロフィーや盾などを飾っておくような場所もないので、納戸にしまうんですけど、その前にとりあえずダイヤだけ外して(笑)そのダイヤで指輪を作りました!」
レコーディングやコンサートなど、歌の仕事で海外へ行く機会も多い岩崎さん。訪ねた国の先々で、記念に宝石を買うこともよくあったそうです。
▲ 高校卒業のお祝いに、由紀さおりさん
からプレゼントされたブレスレット
▲お気に入りのジュエリーたち
「21歳で初めてアメリカでレコーディングをした時、泊まっていたホテルのアーケードで、小さなダイヤがいくつかついている『H』のイニシャルの指輪を見つけて、自分のために買いました。気に入ってずっと大切に持っていたんですが、ピンブローチに作り変えて、お世話になったディレクター飯田久彦さんにプレゼントすることにしたんです。ちょうど2006年、ラスベガスでバリー・マニロウさんとデュエット共演するチャンスをいただいた時で、『プレスリーが立ったラスベガス・ヒルトンの舞台で、宏美ちゃんが歌うのなら!』と、飯田さんもはるばる日本から見に来て下さって。その時にプレゼントしたら、感激して涙されて。21歳から25年くらい大事に持っていたものですけど、作り変えてプレゼントして、恩師に喜んでもらえて本当によかったです。」
1986年には、エジプトでコンサートを開催。歌ったのは、何とピラミッドとスフィンクスの前!同所で公演を行うのは、ビートルズ、フランク・シナトラ、フリオ・イグレシアスに次いで、世界でも四番目の快挙だったとか。そんなエジプトの記憶も、宝石の想い出と重なります。
「ジュエリー関係の友人から、エジプトに行くなら、『石』を買って来て欲しいと頼まれて、お店に見に行ったんです。そこで見つけたのが、アクアマリンに似た青い石。見た瞬間に、歌を教わっていた松田トシ先生がいつもアクアマリンを付けていらしたことを思い出して、それに決めたんです。結局それはアクアマリンじゃなくて、名もないような原石だったんですけれど、想い出になるよう、自分と母にも一つずつ買って、指輪を作りました。母は今でも大事にはめてくれてますね。」
岩崎さんが歩んできた40年の歌手人生。そこには音楽の記憶に結び付く、煌めく宝石の想い出がありました。
次回の後編では、岩崎さんのプライベートを彩ってきた、大切な宝物ジュエリーをご紹介します。お楽しみに!
ジュエリー★一問一答
- 初めて自分で買った宝石は?
- 20歳の記念に、友人と横浜のジュエリーショップで買った、ルビーの指輪。ダイヤモンドは買ってもらうものだと勝手に思い(笑)ルビーにしました。
- 初めてプレゼントされた宝石は?
- 十代の頃に事務所のスタッフからいただいた、パラソル型のペンダントトップ。サンゴのパラソルに、小さなダイヤが付いていました。
- 好きな宝石は?
- ダイヤと真珠が好きです。
- いつも身に付けているジュエリーは?
- 左手薬指にエンゲージリングと結婚指輪。右手小指にはルビーのピンキーリング(20歳の時に買ったものとは別のもの)。亡くなった愛犬をカメオに描いたペンダント。
- 一番大事にしているジュエリーは?
- 夫が作ってくれたエンゲージリングと結婚指輪です。
岩崎宏美さん プロフィール
歌手。1958年、東京生まれ。
1975年のデビュー以来、高い歌唱力で次々とヒット曲を生み出し、1982年には130万枚を記録した「聖母たちのララバイ」で日本歌謡大賞を受賞。日本を代表する女性歌手として、歌声を届け続けている。 デビュー40周年記念シングル「光の軌跡」が4月22日に、セルフカバーアルバム「MY SONGS」が5月20日に発売予定。40周年を迎える4月25日には記念ライブ、夏にはニューヨークでの公演も予定されている。
(番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」 2015年4月号掲載)