イーダーオーバーシュタインの宝石彫刻 第2章 -4-
~ストーンカメオ講座(4)~ 「カメオ彫刻家 クンストラー Gerhard Schmidt」

今回は、カメオ彫刻家の巨匠、ゲルハルド・シュミット氏をご紹介します。彼は、ドイツ イーダー・オーバーシュタインに工房を持ち、クンストラー(Künstler、和訳:芸術家)としてカメオ彫刻に取り組んでいます。近年は大型カメオのオブジェ製作を手掛けています。

ゲルハルド・シュミット氏がデザインしたメノウカメオが初登場!

緑豊かな場所にある展示会場

シャティルング技法を用いたギリシャ神話の女神
(左からアルテミス、アフロディテ、デミテル)

LIVING LEGENDSのコーナー

左:身に着けることが可能なお守りカメオ
右:動き出しそうな躍動感あるフェアリー

11月号ガイド誌で「ついに!ゲルハルド・シュミット氏の機械彫りカメオが登場!?」という告知をいたしましたが、ついに2017年1月にGSTVにおいて巨匠ゲルハルド・シュミット氏がデザインしたメノウカメオが発表されることになりました。GSTVイーダー・オーバーシュタイン特集のコメンテーターを担当させていただいて、約5年。これまで素晴らしいカメオを皆さまにご紹介させていただきましたが、その5年間のコメンテーター生活の中でもこれまでにない嬉しい気持ちと興奮で一杯のカメオです。これまでお客様から多数のご要望をいただいており調整を続けてまいりましたが、 ようやく準備が整いご紹介できることとなりました。
 オーソドックスでありながら非常に繊細で美しい表情を見せる「ギリシャ神話の女神(アルテミス、アフロディテ、デミテル)」の3種類。シュミットのお家芸とも言える仏像カメオ、それを身に着けられるサイズでと考え「不動明王」。可愛らしさが溢れ躍動感のある「フェアリー」。計5種類のモチーフが登場します。放送をご覧いただければ、彫刻の美しさと、シュミットカメオの放つ素晴らしさを感じていただけると思います。ご期待ください。

企画から製品化まですべての工程をチェック

 GSTVでご紹介しているストーンカメオ(メノウカメオ)は、すべて厳しい品質チェックを経てお客様のもとへ届けられています。その厳しい品質チェックはもちろんのこと、今回のシュミットカメオに関しては、機械彫りするために必要な前段階の工程である「金型原型製作」の段階から数々のチェックと微調整を重ねてきました。マスターとなる手彫りカメオがどれだけ美しくても、機械彫りでそれを表現するためには、非常に高度な技術と細かな調整が求められます。企画段階から私自身もシュミット氏と打ち合わせを行い、GSTVのお客様に喜んでいただけるカメオをとの思いで準備を進めてまいりました。

緑豊かな場所にある展示会場

(左)機械彫り原型の試作、(右)シュミット工房にて

ゲルハルド・シュミット氏とは

 現代カメオを語るうえで最も希有な才能を持つカメオ彫刻家といえば、ゲルハルド・シュミットでしょう。1981年、ストーンカメオミュージアムを運営する株式会社古屋の招きで、ドイツのカメオ彫刻家として初めて来日し独創的な作品を製作。9年間の日本での製作活動を経て日本文化への造詣を深めた彼は、非常に繊細で優美なカメオを彫刻し、中世以降のカメオの概念を大きく覆しました。また、徹底した古代の肖像研究を独自に行い、数年間をかけて取り組んだ「世界三大カメオ」の復元製作が高く評価され、2006年にはベルリンの国立旧博物館をはじめ、ヨーロッパの有名博物館で特別展示が行われました。彼とは30年以上のお付き合いになりますが、彼のカメオへの並々ならぬ情熱とこだわりに強く心を打たれ、私自身が彼の熱烈なファンの一人なのです。

緑豊かな場所にある展示会場

麗しの宝石物語の取材を受けた際の写真

緑豊かな場所にある展示会場

世界三大カメオの復元作品とともに

プロフィール

1953
イーダ-・オーバーシュタイン近郊フィッシュバッハに生まれる
1967
イーダ-・オーバーシュタイン市専門技術学校彫刻部門入学
1981
来日
1982
山梨県立美術館にて、日本で初めてカメオの個展を開催
1983
アメリカ合衆国ツーソン、スイスのバーゼルのフェアに出展
1984
香港ジェムショーに出展
1985
アラブ首長国連邦ドバイ市のジュエリーフェアに出展
1990
9年間に及ぶ日本での活動の後、ドイツに帰国し、シュミット工房を設立
1993
ドイツ州政府認定の芸術家(クンストラー)として、創作活動を開始
1996
カメオコレクション作品集“石の彫刻”出版
1999
カメオコレクション作品集“日本の仏像”出版
2002
東京、横浜、京都にて展示会開催
2003
カメオコレクション作品集“聖書の絵”出版
2006
アウグスブルグ、マキシミリアン博物館出展
2006
ボン大学芸術美術館出展
2007
ベルリン国立旧博物館世界三大カメオ出展
2008
オーストリア・ウィーンの美術史博物館 出展
2009
ハルテルン・ローマ博物館「ヴァールスの戦い2000年」に作品出展
2010
ミュンヘンの州立古代美術博物館での特別展「高貴な石の魔術」に作品出展
2012
ドイツ宝石博物館「サンクト・ペテルブルグの彫刻家との共同特別展」開催
2013
オーストリア・チロル州立博物館に作品出展
2015
ライプチッヒ大学古代博物館に作品出展

ゲルハルド・シュミット氏の機械彫りカメオは、1月22日(日)、23日(月)のスペシャルデーでデビュー予定です。お楽しみに!

執筆

ストーンカメオ研究家三沢 一章


番組ガイド誌「ジュエリー☆GSTV番組表」 2017年1月号掲載)

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