スーパーバイヤーの右腕・内藤秀治のGSTVジェムストーン講座
緑の宝石 エメラルド編

石の買い付けからデザイン、製造販売まで一貫して行うGSTVだからこそご紹介できる高品質なジェムストーンの数々。スーパーバイヤーとともに数々の鉱山や海外マーケットに足を運んだ内藤秀治が解説するGSTVジェムストーン講座です。
今回は緑の宝石エメラルドをお送りします。


エメラルド

コロンビア産エメラルド

▲ コロンビア産エメラルド

 クレオパトラ鉱山と呼ばれる自らのエメラルド鉱山を持つほど、エジプトのクレオパトラが最も愛した宝石としても有名です。女王としての権力だけではなく、エメラルドの持つその魅力に取りつかれた歴史的人物でもあります。宝石鑑別の知識がない時代は、現代のように石の成分などわかるはずもなく、赤い宝石は赤い宝石であり、緑の宝石は緑の宝石でしたので、エメラルドもペリドットも同じ緑の宝石と認識されていました。

 宝石鑑別が可能となった現在、世界中で最も広く知れ渡っている緑の宝石は間違いなくエメラルドでしょう。ザンビア、ジンバブエ、ブラジル、アフガニスタンなど世界各国で採掘されています。最も多くそして品質の良いエメラルドが採れているのはコロンビアです。その量は世界の60%近くを占めています。


Muzo(ムソー)鉱山

 コロンビアには数か所の鉱山があります。最も有名なのがムソー鉱山で、ここは特定の場所ではなくかなり広いエリアが採掘所です。そのためあちこちで穴が掘られていましたが、現在ではすべて鉱山主によってコントロールされています。もちろん鉱夫の雇用人数の把握だけでなく、健康面の問題から福利厚生まで細かく管理されるようになりました。と同時に、自由に鉱区に入り込み勝手に掘っていくことが出来なくなりました。

 エメラルドの採掘は、深く掘ったトンネルの中から原石があると思われる土砂を掘り出します。その土砂の中から原石を取り出し、残りの土砂を川に流します。その土砂の中にも多くのエメラルドの原石が含まれており、川に流れたエメラルドの原石を探す鉱夫までいたのです。

希少性の高いトラピッチエメラルド

▲ 希少性の高いトラピッチエメラルド

 しかし、土砂を川に流すことによって環境問題や河川の生態系の破壊につながるとしてエメラルド鉱山から出た土砂を川に流すことを政府が禁止しました。これによりムソーのエリアから自由に原石を持ち出すフリーアルバイター達が激減しました。かつては、世界中のエメラルドの中でも最も多く流通し、青味を感じる高品質で大きな石が採れていましたが、現在はオーナー(鉱山主)により原石の大半がアメリカに輸出されています。

 エメラルドの中でも最も希少性の高いトラピッチエメラルドもムソー鉱山で産出しているものです。トラピッチエメラルドとはスペイン語でサトウキビを絞る機械の歯車を表します。鉱夫たちの幸運のお守りともいわれていたようです。


Cosquez(コスケス)鉱山

 次いでコスケス鉱山。ここも広いエリアで何か所も穴が掘られています。大き目で黄緑色が多く産出されるのが特徴です。そして、東アフリカのカラーストーンの鉱山の多数を運営する大きな会社がコスケスの70%の権利を取り、コロンビアの鉱山運営に乗り出しました。これにより一層管理された価格と供給量になっていくことが予測されます。

 ムソー鉱山とコスケス鉱山はコロンビア政府からの長期借地ですが、チボール鉱山とピタ鉱山は個人所有の鉱山です。


Chivor(チボール)鉱山

 チボール鉱山はいくつかの規模の小さな穴が掘られています。原石も大きなものが少ないながら、青照りの綺麗なものが採れていましたが、近年は産出も減ってきています。またユークレースと言う珍しい希少石もこのエリアから産出されています。


LaPita(ピタ)鉱山

 ピタ鉱山はこの中でも新しい鉱山で、掘られている穴は1か所です。ムソーとコスケスの間に位置し、色乗りもよく綺麗な石が出ていたのですが、ここ数年は他の鉱山同様産出は減っています。


新しい鉱区クナ

 そしてピタのすぐ隣に新しい鉱区クナがあります。コロンビアのエメラルドの60〜70%の生産量を占めるようになった一大産地です。近年のエメラルド鉱山の中で最も重要な鉱山となり、価格の安定化を図るための生産調整もされています。鉱山地区の情報はあまり知られていないので、クナ産のエメラルドと言っても知らない業者もたくさんいます。特にボコタのマーケットにカット石として流通しているものはどこの山で採れたかわからないままコロンビアエメラルドとして流通しているのです。


希少価値が高まるエメラルド

 ボコタでも事務所を構えて取引を行っている業者は登録が義務付けられ、仕入先と販売先がわかるように国の規制が厳しくなっています。道端での取引もまだまだたくさんあります。基本はちゃんとした取引ですが、偽物や特別な処理を施した石など、価値のない石を価値のある物のように見せかけて販売している人はたくさんいます。買う、買わないは自分次第。真贋が見極められれば思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれません。

 事務所を持たない(持てない)ブローカーたちも、ボコタでエメラルドの取引をするならば必ず登録しなければならなくなりました。そのため大勢のブローカーが辞めてしまいました。コロンビアからのエメラルドの輸出量は減っているのですが、輸出金額はほとんど変わっていない、それだけ単価が上がっているということです。

 世界的な需要が高まる中、供給が減り、ますます価値の高い憧れの宝石になっていきます。

執筆

スーパーバイヤーの右腕内藤秀治

監修

エメラルドハンター 清水 雅弘さん

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